誰でもいつでも簡単に作れる8小節トラックとは?
8小節委員会のビジョン
トラックメイカーの可能性を広げる文化の創造
トラックメイカーの可能性を広げる文化の創造
音楽のデジタル化は着実に進んでいる。海外諸国に比べるとまだCDなどのフィジカルが多いもののトレンドとしてはデジタルに向かっている。
ただ、そのデジタルトレンドは、ダウンロードが減り、ストリーミングサービスに集約されつつある。ユーザーにとっては膨大な曲の中から好きな曲を見つけられる便利なサービスである反面、アーティストにとっては、CD、ダウンロード、ストリーミングと3つあった発表の場が減ったと解釈することもできる。
アーティストの中にトラックメイカーというポジションがある。海外ではプロデューサーと言われることもある、トラックメイカーの多くは、クラブミュージックにおいてDTMですべてのパートを作曲、編曲をする人を指し、ボーカルはあったりなかったりする。
最近では注目されることが増えてきたものの、ボーカリストやグループの陰に隠れてまだまだ縁の下の力持ちといった位置づけである。
我々は、トラックメイカーなくして成り立たないジャンルの音楽を聴いて育ち、実際にトラック制作を始めて発表した。同時に、我々はトラックメイカーを支援してきた。音楽業界を盛り上げたいという考えはもちろんのことではあるが、特にトラックメイカーにもっと光を当てたいと考えている。
動画サービスの隆盛の中で生まれたショートムービーというSNSフォーマットがある。この動画フォーマットに即した音楽フォーマットがあると我々は「発見」した。
それが8小節トラックである。8小節の長さがあれば、リズムに乗る楽しさを作ることできる一方で、8小節は短いようで長く、多様な表現ができる可能性を秘めている。
8小節トラックの多様な表現によって、トラックメイカーが活躍できる新しいプラットフォームを作っていく。
このフォーマットを認知して、制作してもらう土壌ができることで、トラックメイカーの可能性が広がる。制作のハードルを下げ、制作の頻度を上げ、結果クオリティが上がっていく。発表の場もある。それが文化になる。その文化を作るのが我々、8小節委員会(8Bars Music Committee・8BMC)である。
・音楽業界を盛り上げること
・中でもトラックメイカーにもっと活躍してもらうこと
・8小節トラックの概念を探求・啓蒙すること
・賛同者を増やすこと
・発表の場を創造すること
・イベントの開催
・コミュニティを作ること
・作品をリリースすること
・関連商品の開発・販売
YouTubeの登場以降、動画を見たり作ったりすることがユーザーに広がり日常的な行動となった。そんな中でTikTokの手によって、15秒の動画で遊ぶというショートムービーというジャンルが確立された。情報が溢れかえる現在で1つのコンテンツを最後まで見てもらうことが難しい状況を解決する画期的な手法となった。
15秒の短い動画を連続的に見るフォーマットのもう一つの特徴は、15秒を繰り返す(ループ)ことによる気持ちよさがある。
短い動画の繰り返しが気持ちいいと実証された今、短い音楽の繰り返しも気持ちがよいと一般の人にも無意識に認識されたと理解している。
しかしながら、これまでのショートムービーにおいては、音楽は15秒の尺に合わせたものではなく、15秒で打ち切られる。我々は、この点を改善し動画の長さと音楽の長さを揃えることで同調性を強化してより楽しくすることを考えたのである。
世に普及した15秒を吟味すると、8小節(4/4拍子)が最適である。BPM128で約15秒となる。BPMが早い場合は11秒、遅い場合は30秒になるのである。
Hip Hopを始めとしたクラブミュージックでは8小節の繰り返しを基本としている。
そこで、我々は8小節が曲として成立するという考えに至った。
音楽のいろいろな楽しみ方の一つにリズムに乗るというのがある。リズムに乗ると楽しいと思うのは、音楽に一定の規則性があるからである。期待通りの進行を私達の身体はリズムと認識する。外しのテクニックが気持ちいいのも、期待通りの進行があってこそである。
この期待通りの進行の基本単位が8小節であることが多い。
逆に言うと8小節の曲があれば、それを繰り返して(ループして)聞くことでリズムを作って楽しんでもらえる。
BPM128の場合、時間で言うと多少の揺れはあるがだいたい15秒である。人間の発声だと15秒で100文字話せる長さとなる。このように8小節は短いようで長い。その中で表現できる可能性は非常に高いと言える。起承転結のストーリーを作ることもできるし、8小節の中に繰り返しを入れ子にしてもいい。あえて何も意味を持たせないこともできる。
3分〜5分の1曲を完成させるのは非常に手間がかかり難しい。しかし8小節なら誰でもかんたんに作ることができる。
初心者が初めて取り組むには非常にハードルが低く、上級者にとってはPCの奥に眠っているパーツの有効利用になりうる。
我々が提供するアプリ「高品質なMVがかんたんに作れる」ムビートで、動画で遊ぶユーザーに音楽を提供することが可能になる。
諸説あるが、8小節ループはHip Hopから始まった。
1973年、ニューヨークのレクリエーションルームで開かれたパーティーにて、Kool HercがHip Hop音楽の原本となるスタイル(レコードのビートの重い短い一部分を抜き出す)を作り出した。Kool Hercは、Grandmaster Flash、Afrika Bambaataaと並ぶ、Hip Hop黎明期の3大DJの一人に数えられ、“Hip Hop界のゴッド・ファーザー”と呼ばれることもある。
ビートの多くかかった部分(「Break」と呼ぶ)はダンサー達の最も好む所だったので、彼はそこを取り出し、変化を加えて、後に延長していくようになる。2つのターンテーブルを利用して、1枚目レコードのブレイクがかかっている間に、2枚目レコードのブレイクの部分を流す用意をしておき、その2つの短いブレイク部分を次から次へと流していくという過激な発想をうみだす。James Brownの 「Give It Up or Turnit A Loose」のブレイクからThe Incredible Bongo Bandの「Bongo Rock」、そしてBabe Ruthの「The Mexican」という構成であった。
(出所:ウィキペディア)
ブレイクのもっとも気持ちのいい部分は基本的に8小節で構成されることが多く、そのループは聴く者に高揚感をもたらす。
1990年代前半から2010年頃にかけて、こういったHip Hopの手法は他ジャンルに広がっていく。まずはChemical Brothers、Norman Cook(後のFatboy Slim)がブレイクビーツ使いとして名を馳せる。またHard Core、Jungle、Drum’n Bassなどにおいても広がっていった。その後Prodigy、Daft Punkなどが続く。
2010年代中頃から、サンプリングが改めて評価され、「意図的に汚したジャズなどのサンプル・ネタと、レイド・バック気味のヨレたビートで構成されるインストゥルメンタル」が生まれた。過去のアニメ作品と組み合わせて8小節のループに合わせたものが流行している。Houseでも同様の動きがある。